ページ

2013年1月16日水曜日

評価の高いアナリストレポートの書き方(忘れかけていたこと)

先日、ボスに奨められて東証ビルで行われたCMAセミナーへ参加してきました。

スピーカーの経歴はネットで調べればすぐに分かると思うので詳細は割愛しますが、長年に渡りセルサイド・アナリストランキングで首位、財界と太いパイプを持つ方です。

少々どこか新入社員研修みたいなセミナーでしたが、目から鱗というか当たり前のハズだったのだけれども、やっぱり行ってみるもんですね...。読んでもらい、使ってもらうことが必要で、誰に高く評価されたいのかを意識しないといけないなと改めて思いました。

何故この人が、アナリストランキングで1位の座に輝き続けたか?何故成功したのか?そのカギは脈と報のフル活用にあったようです(同氏曰く「人情を大切に」とのこと)。

レポートには、レポートの先が必ずあります。例えば、社内・投資家・企業IR部からの問い合わせなどです。そこからディスカッション、MTG等のインタラクティブな活動を通じて、知見の質を高めていくことで相手にとって自分が有益な存在になり、信頼関係が築けたと同氏は言います。書いたら終わりじゃないってことですね。
例えば「売り推奨」はネガティブに捉えられがちでも、「何故高く評価されているのか?」を説明すれば企業IRからクレームは来ないとのこと。レーティングはその理由材料をきちんと丁寧に提供することが大切だということですね。
こうした有益な意見交換を重ね続け、メモをとる側から、取られる側になり、質問するだけでなく議論をし、生産的なギブアンドテイクの関係を築いていったそうです。

独自データベースに基づく業界・企業分析も、今では考えられないですが、問い合わせのあった取引先には無償でデータベースごとあげていたとのことです。そして逆に、同氏が情報を得る際に無償で提供を受けていたとか。

そしてライバルのアナリストたちを招待して、意見交換会などを企画主催を勤め、自分自身が人脈と情報のプラットフォームとなり、政府からも呼ばれる立場となった訳です。

そういう意味では、セルサイドのアナリストレポートというのは1つの広告であると考えたら面白いかと思いました。


「日本企業では一生懸命やれば認められるが、外資では仕事の成果をアピールしないと生き残れない。」
「投資家から認められるレポートを書くには、企業IR部門に好かれるレポートを書くべし。」
と、いかにも外資系らしいというか、セルサイドらしいというか、ナルホドなと思いました(笑)

もしかしたら同氏が入社間もない頃、社内勉強用に作成した「液晶」に関するレポート(同氏は理系出身)が上司の目にとまり、社内で使用され、顧客にも配布され、高く評価されたのが、こうした人情の活用法の契機となったのかもしれませんね。こういう小さくても成功経験がある人っていいなぁ...。

P.S.
面白いことに、同氏は情報が豊かとなった今でも、96年から手打ちで石油価格を入力する日課があるとか。最近、様々な情報ベンダーがありますよね。そういうサービスを利用してしまえば、簡単な分析も資料もクラウドで出来てしまう。容易く情報が発達化・同期化出来ちゃいますが、毎朝「打ち込む」作業をすることによって、変化に敏感になり、数値の根拠や仮説立てをするクセを付けたのだそうです。
情報が自動化される現代だからこそ、『考える力』が問われる時代というのは...耳が痛いですね...。

0 件のコメント:

コメントを投稿